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2020夏、古民家田舎暮らし体験「マーロウ激動の3泊4日 in 色川」

はじめに

ついにこの夏、超ロングなブログを書くタイミングが訪れた。

写真も動画も顔出しOK、老若男女多くの方が(体力的に)感情移入しやすい華奢な中学一年生の男子、3連泊して様々な体験をしてくれた「マーロウ」と、その父親「ダブル」の激動の3泊4日、そのリアル(多少の後付け脚色あり)をご紹介します。

都会の喧騒を離れて大自然や古民家でリフレッシュしたい方から、将来的に田舎暮らしを検討されている方まで、幅広くお楽しみいただけるよう、趣味のオンライン将棋の時間を切り詰め、些細な何気ない会話の記憶までもを辿りながらパソコンと向かい合いました。

このブログに登場するのは、JUGEMUのホストファミリーである私と妻、そして私が学生時代に大阪で毎日のように一緒に遊んでいたダブル(Warrior “ウォーリアー”戦う男の頭文字「W」か、高校一年を二回もダブった「W」のどっちか)と、その息子マーロウ。

マーロウという名前は、父親のダブルがレイモンドチャンドラーのハードボイルド小説が好きすぎて、登場するフィリップマーロウという探偵の名前からとったものであるが、「マーロウは名前じゃなくて苗字やで」と言うと、ムスッとするので要注意である。

どうしても先に書いておかなければならないことがある。
今回のブログに登場する「料理の写真」は、普段提供している料理とは大きく異なるということを。
普段の料理の例はこちら:お食事ページ(別ウィンドウで開きます)

事前にダブルから「JUGEMUで穫れた農作物だけを堪能したい」「確かに那智勝浦のマグロは美味しいが、今回は必要ない」「極端な話、毎食(裏の鶏舎で取れる)卵かけご飯でもいい」「とにかく質素に」「マーロウは少食の少年ボーイ、食べ残しを未然に防ぎたい」としつこいほどに連絡があり、「そんなん写真に撮ってアップされたらコスパの悪い宿やと思われるやん」と言うと、ムスッとしたので従うことにした。

マーロウの初日

ダブルとマーロウは朝の4時半にクルマで埼玉を出る。

途中朝8時、トイレを済ませるために立ち寄った浜松サービスエリアは本当に、誰もいない貸切状態だったのである。
これがコロナの影響なのか、それとも元々こういうものなのか、ダブルにはわからなかった。

埼玉からJUGEMUに着くまでの間、クルマをおりたのはこのサービスエリアと三重のガソリンスタンドの2回だった。

ちなみに道中、ずっと雲で隠れていた富士山が突然姿を表した時、興奮のあまり分岐を間違えて20分のロスをする。
そう、ダブルは埼玉に住んではいるが、元々は(新幹線で静岡に差し掛かったあたりで窓の外を眺めて「見ろ!富士山や!」と口に出して言うタイプの)大阪人なのである。

13時ジャストにJUGEMUの駐車場に到着。
車窓に広がる色川の景色と、JOJOに出てきそうなポーズで眠るマーロウ。

完全に寝起きの状態で、ワビスケの散歩。
どうもマーロウは、犬の散歩を楽しみにしていたよう。

JUGEMUのすぐ側を流れている川を見て「この川に魚はいるの?」とダブル。

妻が「小さいのはいるけど、そうそう、もっと下のほうの川にはうなぎがいるみたいで、うちのお父さんがうなぎの筒状の仕掛け(うなぎテボ)とエサを群馬から送ってきてたわ」。

うなぎ?ほんまかいな、と思いながら4人でJUGEMUのすぐ側の川へ移動。

水陸両用のシューズで川を楽しむマーロウ。

そこにいる全員が、絶対に捕れないだろうと思いながらも、うなぎテボを仕掛けてみる。

小さなカニを見つけて手づかみするダブル。
それを「痛くないから、本当に痛くないから、俺を信じろマーロウ」と言って手渡し。
近年稀に見る苦笑いで受け取るマーロウ。

ちなみにダブルはこの後、岩の陰にソフトボールくらいのサイズの巨大なカニを発見したのだが見失い、「この岩の下にいるはずやねんけど、ハサミがデカくて流石に危ないかも」と妻に知らせると、妻は素手で岩の下をグリグリしはじめ、その姿を見たダブルは、「この人、頭のネジが5、6本緩んでる」と思ったそうだ。

次に、歩いて2分、JUGEMUの裏の山を流れる川へと移動。

地面を這う数々のホースは、色川の町人の方々の家や畑に繋がっている。
なので、生活用水のホースの先端付近や、その上流で遊んではいけない。

長年住んでいると、「水の出が悪いから(ホースの先端に)落ち葉が詰まっていないかどうか見てきて欲しい」という連絡を受けるため、誰のどこに繋がるホースなのかがわかるようになるのである。

これがまさに、JUGEMUの畑に繋がるホース。
食事で提供したり、宅配でお届けする野菜は、この美しすぎる水が命の源なのである。

JUGEMUと山の間にある畑。
ちなみに米を作る田んぼは、農業を引退された方から譲り受けるなどして、JUGEMUからは少し離れた場所に転々とあり、野菜を作る畑は基本的に近場に位置する。

畑の奥に見えるのは太陽光温水器。

次に、JUGEMUから急な坂を下って300mほど、絵力のある石橋の下を流れる川に移動。
ここなら、上の川よりも魚がたくさんいるかもしれないと、ダブルがamazonで購入して持ってきた魚捕り網(お魚キラー)にうなぎ用のエサを入れて仕掛けてみる。

今日はもう、長い移動で疲れたので、お風呂に入ってご飯を食べよう。

エミネムのTシャツに着替えるマーロウ。
私はマーロウに尋ねる、「エミネム好きなん?」
マーロウは答える、「誰それ?ん?これ?知らん」

竃(かまど)でご飯を炊きましょう。

ダブルからは事前に「食事はとにかく質素でいい」「質素がいい」「質素じゃなきゃ嫌」「マーロウは想像を絶するレベルの少食」と言われていたものの、質素の度合いがわからず、探り探りのラインナップ。

18:30に夕飯を済ませると、マーロウは自分の部屋ではなく私の部屋に、埼玉から持ってきたゲーム一式をセッティングして、気づけば20:30に私の布団の上で爆睡モード。

説明を入れなくてもおわかりいただけるかと思いますが、通常このようなサービスは行なっておりません。

ゲーム一式(超高ヘルツのモニター、超高感度のマウスとキーボード、ぶ厚目のマウスパッド、流石にゲーミングPC本体は諦めてプレステ4、カテゴリ8の30mのLANケーブル)を古民家の宿に持ち込んでオンラインゲームをしようと考えるお客様は、このクレイジー親子が初めてのことです。

私とダブルはビール、ワイン、日本酒を飲みながら、深夜2時まで「日本のミライ」「真の社会貢献とはなんぞや」「行動経済学」「フロイトとユング」の話をすることもなく、2000年に起こった雪印集団食中毒事件の話をしていた。

連日の会見で疲労困憊していた社長が「私は寝ていないんだ!」と問い詰める記者達に向かって言い放った。
その社長に対して記者のひとりが「こっちだって寝てないんだ!」と逆ギレをした。

あの時の記者のような「逆ギレするエネルギーが今の自分には必要なのではないか」「いや、必要ないだろうな」「いや、やっぱり必要なのかもしれない」と、ふたりで夜空に輝く無数の星々を見つめながら迷走を繰り返した。

マーロウの2日目

この日、マーロウが起きたのは11時。

ダブルは8時に目覚め、念願の卵かけご飯を食するも、「これがさっきそこで取ったばかりの卵なのか、くふふぅ」と、興奮のあまり写真を撮り忘れる。

私は所属する町会で、町民の方々がこの夏に行なった草刈りや伐木(ばつぼく)などの作業の時間や費用を計算してJAバンクに伝えるという重要な役割を今期から担当することになり、これまで手書きで行われていたリストの作成を、なんとかITを駆使して簡素化できないものかと考えていたのだが、なかなか最善の策が見つからず、提出の期限が迫る中で重圧という名のストレスを抱えていた。

目の前で卵かけご飯を頬張る「自称IT番長」の異名を持つダブルに相談したところ、怒涛の質問攻撃(口撃)が開始される。

「夏のリストと書いてあるが夏以外もあるのか?来年、再来年に作業する町民の数が増えたり減ったりする可能性はあるのか?時間あたりの作業費用は来年、再来年に金額が変わる可能性はあるのか?金額は税込なのか?作業の項目が増えたり減ったりする可能性はあるのか?ちなみに貴様のパソコンにはエクセルは入っているのか?」

最後だけノー、あとはすべてイエスで答えると、ダブルはおもむろにノートパソコンを開いて15分ほどでリストを作成した。
「共有のフォルダに入れておいた。冬の時はまた言えよ。昨日マーロウにアイスを買ってあげる約束をしてしまったので、現金をおろすために郵便局に行きたい」。

私はダブルが作成したリストに情報を入力して、出力したPDFファイルをUSBメモリに保存し、郵便局に案内するがてら役場まで印刷をしに行くことにした。

その時の様子は前回の記事で。
色川郵便局と那智勝浦町役場色川出張所と色川よろず屋(別ウィンドウで開きます)
※色川よろず屋でマーロウがアイスを食べたのはこの日の昼食後。

9:45、郵便局の帰り、昨日仕掛けたお魚キラーの様子を見に行く。

正直言って、絶対に捕れないと思ってました。

マーロウは朝(というか11時)、食欲がない。
目覚めたらそこが、和歌山の田舎の古民家の宿のホストファミリーの旦那の布団の上だったという現実を受け止めることに時間を要したのだろうか、おもむろに庭に出て、昨日の記憶を辿りながらワビスケにブラッシングを行う。

ちなみに、昨日仕掛けたうなぎテボは空っぽ。
この時頭をよぎったのは、バットから1mは離れているであろう悪球を豪快に空振りしたカブスのバイエズ。
空っぽの筒を見るマーロウの顔が、まさに絵に描いたような無の表情。
そんなマーロウの動画を見た私は、「120%ごめんなさい」と心でささやき、完全に消去しました。

気を取り直して昼ごはん。
薬味は自家製、キムチは貰い物、そうめんはスーパーで買ってきたやつ。

「スーパーで買ってきたやつ」というワードでダブルのテンションが著しく低下することを昨晩提供したメザシで察知済みの私たちはもう何も言わない。

昼食を終え、4人で川に遊びに出かけた。
案内したのは、私たち夫婦が長年色川に住まい、たくさんの人から教えてもらった穴場の中でも、お気に入りの場所ベスト3に入る「奥中野」。

この場所を下流に向かって歩き進むと、木漏れ日が美しく差し込む深さ2mほどの泳げる場所があるのだが、カメラに防水機能がないため、誰も撮影していなかったのだ(涙)。

ひとしきり泳いだ後、バランスをとりながら無心で石を積み重ねる(ロックバランシングというらしい)マーロウ。

奥中野から戻ると、ダブルがamazonで購入した魚も虫も採れる折りたたみ式の網が届いていたので、隣の川にダッシュするマーロウ。

足音で魚が岩陰に隠れてしまい、一匹も捕れなかったが満面の笑み。

さぁ、今日も山を下ってお魚キラーを仕掛けに行こう。

次は薪割り体験だ。

ちなみに割った薪は、日当たりと風通しの良い場所で2年間保管する。
乾燥させるために冬を2回超える必要がある。

食事を待つ間、ワビスケの友達(紀州犬)が尻尾を振ってやってきた。

食事を待つ間、JUGEMUの庭に水で落書き。

食事を待つ間、週に2回、山を登ってきてくれる丸本商店さんのトラックがJUGEMUの前に停車。
昔ながらの移動販売を、最新鋭のスーパーハイテクトラックを見る目で眺めるマーロウ。

食卓にはお魚キラーでゲットしたハヤとエビの素揚げ。

川魚は体内に寄生虫が生息している可能性があるため、しっかりと熱を通す。
色川に移住して5年以上経つが、こうして川魚を食べるのは初めての私たち夫婦。

ぶっちゃけた話、最初の二匹目までは最高に美味しく感動すら覚えたのだが、三匹目以降、少しずつ(川魚特有の僅かな臭みを感じるために)飽きてくる。

「ゲームができるのなら、私はどこに行ってもそれなりにやっていける」と背中で語るマーロウ。
ちなみにヘッドセット(ヘッドフォンとマイク)で連携をとっているチームメイトは、和歌山市内のひとつ年上の(会ったこともない)ゲーム仲間達で、チームを作って半年、ついに会える日がきたかと期待していたマーロウだが、和歌山の中学は埼玉の中学とは違い、一週間早く夏休みが終わり授業が開始していたそうで、ご対面は次の機会に持ち越しとなった。

この日の夜も、マーロウはいつの間にか(当然のことのように私の布団の上で気持ち良さげに)寝落ちし、私と妻とダブルの3人で、ビール、ワイン、日本酒を飲みながら、深夜0時まで「日本のミライ」「真の社会貢献とはなんぞや」「行動経済学」「フロイトとユング」の話をすることもなく、90年代にプチブレイクした歌手、浜本沙良の隠れた名曲「What is Love」をリピートで聴かされながら、ダブルの奥さんは出会った当初、金髪の丸坊主で、BUCK-TICKのギタリストの今井寿に似ていたという話から派生して、そういえばBOOWYとBUCK-TICKは群馬県出身だという話になり、群馬県出身の妻に向かってダブルは「あの当時、群馬県には何か特殊なエネルギーがどこからか降り注いでいて、あなたにも異能力的な何かが宿っている可能性がなきにしも、なきにし」と言った直後に寝落ちした。

マーロウの3日目

ダブルが朝の9時に起床。
はい、卵かけご飯。

やはり、大切なお客さんに「本当にこんな朝食を出していいのか?」と自問自答してしまう私。

この日の暑さは猛烈というほどでもなく、絶好のお出かけ日和だったので、仙人場に行くことを提案。

しかし絶好のお出かけ日和は、絶好の農作業日和でもあり、それを察したダブルは「農作業で手伝えることは何かないか?」と言う。

収穫を控える田んぼの稲が猿に食い散らかされないように、頑丈な鉄の柵を田んぼの周りに隙間なくハンマーを使って差し込み、その上に電気の流れる銅線を張り巡らせる「電柵」を設置するけっこうハードな作業があると伝えると、「是非とも手伝いたい」とまさかの返事に慌てる私。

今回案内することができなかった仙人場の詳細はこちら
ギャラリー:仙人場を目指して(別ウィンドウで開きます)

早速、色川の獣害対策のエキスパート「ヒロシ君」と、軽トラックを貸していただける先輩住民に電話を入れる。

電柵の設置作業は暑さの和らぐ15時から開始することが決まり、それまでの間、私と妻とダブルは黙々と、(ハンマーで地面に打ち込む)柵の上に等間隔で差し込む50cm程のプラスティックの細長いポールに、10cm、10cm、15cmの間隔でクリップとバネを交互に入れていく作業を室内で行う。
この間隔を誤ると、その隙間から猿が侵入してしまうのである。

昼食はおにぎり、写真を撮ることも忘れ、無心になってポール60本を仕上げ、15時まで駐車場でキャッチボールを楽しむ。

ちなみにマーロウは、いつの間にかにむくっと起きて、私たちが作業している間、バーチャルの世界で、和歌山市内の仲間と共に、とにかくたくさんの敵を殺めるという作業をしていたのである。

電柵で田んぼを取り囲むために、まずは現状の囲い(網と鉄の杭)を丁寧に取り除く。

この日は、(完成形を100とすると)90くらいまでの作業を行うことができたのだが、写真を撮っている余裕がなかったため、ここからの写真4枚は、後日撮影したもの。

これが屋内で作っていたポール。
電流はこのソーラーパネルで、エネルギーは太陽から供給。

無事に完成。
特に段差のある箇所が大変で、もしここが平地の田んぼだったら、もう少し楽に設置できるということがおわかりいただけると思います。

電柵の設置作業を行なっている間、妻とマーロウが野菜を収穫をし、竃でご飯を炊いてくれた。

みなさんお気づきだろうか。
マーロウのTシャツが2日目と同じエミネムであることを。
そう、彼は昨晩、風呂に入ることを忘れ、YouTubeを見ながら私の布団で寝落ちしたのである(涙)。

ちなみに彼が見ていたYouTubeは、フォートナイトというサバゲーの世界的プレイヤーが、自分のチームのプレイ状況をLIVE配信していた際、突然激怒したシーンがあるのだが、「なぜ彼がその時に激怒したのか、その理由を丁寧に解説します」という内容のものだった。

神様、私はもう、近い将来に必ず訪れるであろう新しい時代の波に、乗り遅れる自信しかありません、アーメン。

電柵の設置作業の合間をぬって、昨日仕掛けたお魚キラーの回収へ。

正直に言います。
2日連続で捕れることはないだろうと思っていました。

流石に今日は疲れた。
重労働に加えて、坂道の上り下りで体力を消耗している。
スーパーで買ってきた冷凍のカツオは、格別である。

JUGEMUの庭にいたクワガタのメス。
虫を見ても、微動だにしなくなった、男らしいマーロウの笑顔。

庭先に寝転がり、流れ星を待つダブルとマーロウ。

この日の夜、私と妻とダブルの3人で、ビール、ワイン、日本酒を飲みながら、深夜2時まで「日本のミライ」「真の社会貢献とはなんぞや」「行動経済学」「フロイトとユング」の話をすることもなく、ダブルが小学五年の頃、親がCDダブルラジカセを購入して、ダブルの兄貴が様々な情報を集めて「氷室京介という男性のファーストアルバムを買うか、渡辺美里という女性のベストアルバムを買うか」の二択をダブルに迫まり、男か女かの判断で「氷室京介」をチョイスし、その後、ロックンロールと共に大人へと成長したという話で盛り上がる。
あの時、渡辺美里をチョイスしていたら、俺の人生はどうなっていたのだろうかと思いを巡らせるダブル。
そして中学生になったダブルが、自分のお小遣いで初めて買ったCDは館ひろしのアルバム「ゴールデンシャドー」だったという話のあたりから、私たち夫婦のあくびは止まらなくなる。

このとても有難いお話からどう派生したのかは記憶にないが、2012年に探偵ナイトスクープで放送された「船酔いを一瞬で治す方法」の話は面白かった。

バリ島の船の上で船酔いになりゲーゲーしている知人がいて、現地のガイドが背後からそっと忍び寄り、クーラーボックスからキンキンに冷えた水を、首筋と股間に向けて流し込むと、ギャーと驚いた次の瞬間、知人は船酔いが治っていたという話である。
船酔いというのは脳の誤作動で、別の刺激を与えてリセットすることで治るというものだ。

ダブルはこの放送を見た当時、人間もパソコンも同じなのだと思ったという。
WEBの仕事をしている彼は、知人やクライアントから「パソコンの調子が悪い」「壊れたかもしれない」という相談を頻繁に受けるのだが、ほとんどの場合「再起動」することで治ったという。
中には「再起動したつもり」の「正しく再起動できていない人」がいて、「強制的に終了して起動し直す」ことで解決したケースも多いとのこと。
パソコンが壊れたと思って買い換える寸前だった人からは、たいそう感謝されたという。

この話から派生して、「日々の暮らしの中で当たり前に知っていて何の値打ちもないと思っていることでも、一部の人からはものすごく重宝されることだってあるのだ」という話になり、2017年に渋谷のロフトで行われたDiscoverJapan主催「移住者交流イベント」の「(和歌山代表)先輩移住者」として私が登壇した時に(ダブルは会場で見ていた)、お洒落でキラキラして場違いな空間にきてしまったと萎縮し、(用意していた小話が、田舎暮らしの闇よりも深い闇に鋭く切り込む「驚愕の真実 全1話」であったため)多くを語ることができなかったときのこと持ち出して、「もっと果敢に発信を続けるのだ」と説教されるタイムに突入。

コロナ騒動の前までは、JUGEMUを訪れるお客さんの8割以上が外国人だった。
この騒動がいつ落ち着くのか、先が見えない中で、ダブルはJUGEMUを思って言ってくれているのだ。

そしてこの後、私の記憶が確かであれば、ダブルは壁に向かって話を続け、私はこの6年くらいの間、数多くのメディアに紹介いただいたのに、ホームページの「メディア掲載」には3つしか情報を更新していなかったことを強く反省し、眠りについた。

マーロウの4日目

とうとうお別れの時。
11時にはJUGEMUを出ると言っていたのに、マーロウが起きたのは11時。

ダブルは8時に起きて、マーロウのゲーム一式をクルマへと積み込み、私の代わりに、JUGEMUが紹介されている雑誌などを写真に撮ってくれていた。

すると突然ダブルの携帯が鳴り、仕事のパートナー「Mrゲップ」から「トラブル発生」とのこと。

JUGEMUの食卓に置かれたダブルのノートパソコンの中で、「ダブル」「Mrゲップ」「タカハッシー」「タッキー」「赤いチャゲ」「緑のチャゲ」の6人で緊急のWEBミーティングが始まった。

そばで見ていた私は、心の声で言ってみた。

「タッキー & チャゲ & チャゲ」。

色分けしているとはいえ、「チャゲ」の数が多いと残念に思う私。

トラブル発生にも関わらず、ニコニコしてると思いきや、ダブルはずっと、JUGEMUのWi-Fiのことを気にかけてくれていて(マーロウはゲーマーだから基本的には反応の早い有線で機器を接続するのだ)、これからの時代、ワーケーション(ワークとバケーションが混在する働き方)やリモートワークが当たり前になるからと、実際にWEBミーティングなどがJUGEMUで問題なく行えるのかどうかを検証するつもりでいたのだが、すっかり忘れていたので、ナイスタイミングと思っていたのである。

WEBミーティングは何の問題もなく円滑に進み、短い時間でトラブルを解決したダブルは、Mrゲップ(ストレスがたまるとゲップを連発する東京赤坂にオフィスを構えるWEB専門の広告代理店社長)に、「今和歌山にいて、これから帰るところ、野菜ボックスの通販はじめたばかりの素敵な宿、野菜買ってあげて」と言ってくれた。

その後、間髪入れず野菜ボックスに7つの注文が入る。
Mrゲップの会社には在宅ワークする主婦スタッフが5名いて、Mrゲップの家族用に1つ、Mrゲップの会社の在宅スタッフ用に5つ、Mrゲップの叔父に1つ、まさに神様のようなMrゲップに感謝感激。

正直、いきなり7つも注文が入ると、実っている野菜の数にも限りがあり「対応が遅れてしまうかもしれない」とダブルに言うと、「大丈夫、Mrゲップは今は神奈川に住んでいるけど、もともと天王寺の人間で、この自粛の夏に箱根に旅行に行った、大阪を、いや、関西を捨てた男やさかいに!」と、意味不明の回答がかえってきたので、ほっと胸を撫でおろす。

そうこうしているうちにマーロウが目覚める。
庭で自家製の梅ソーダを飲み、眠気を冷ますマーロウ。

マーロウとダブルはクルマに乗って埼玉へと帰っていきました。

途中、安濃サービスエリアでトイレとラーメン。

駿河湾沼津サービスエリアでトイレ。

お疲れ様!
読み返してみて気づいたけど、あなた達が寝泊まりするはずのお部屋の写真が一枚もないんですけど!

お部屋の写真はこちら:お部屋ページ(別ウィンドウで開きます)